東宝(9602)の中間決算(2026年10月):上期は営業利益が 25% 減。減益の 8 割あまりは IP・アニメと映画

目次
上期は営業利益 25% 減、通期の営業利益の予想は据え置き
東宝は 10月15日、2026年3〜8月の中間決算を発表した。営業利益は 309億円で、前年同期より 24.8% 減った。一方、通期(2027年2月期)の営業利益の予想 620億円は据え置いた。

東宝の柱は映画で、作品の製作・配給から映画館の運営までを手がける。ほかに、アニメなどの IP(キャラクターや作品の権利)、演劇、不動産の事業を持つ。上期の営業収入は、映画が約 5 割、IP・アニメと不動産が約 2 割ずつだった(決算短信のセグメント情報から計算)。
収入は 3% 減、営業利益は 25% 減

くわしく:業績の表
| 2026年3〜8月 | 今期 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 営業収入 | 1851億円 | 1916億円 | −3.4% |
| 営業利益 | 309億円 | 411億円 | −24.8% |
| 経常利益 | 331億円 | 421億円 | −21.5% |
| 純利益 | 200億円 | 334億円 | −40.2% |
表の金額は億円未満を切り捨てた(会社の資料と同じ)。
営業収入は、東宝が売上高にあたるものを呼ぶ名前だ。純利益は「親会社株主に帰属する中間純利益」のこと。
IP・アニメの数字は、3月の会社分割(事業の一部を別の会社に移すこと)のため、前年と同じ物差しでは比べられない。分割の前の数え方に直した値は、IP・アニメの節で見る(決算短信 PDF p.5、決算説明資料 PDF p.11・12)。
営業利益率を押し下げたのは、販売費及び一般管理費(販管費)の増加だった。販管費は 86億円、19.8% 膨らみ、営業利益を営業収入で割った営業利益率は、前年同期の 21.5% から 16.7% に下がった(計算。決算短信 PDF p.9、決算説明資料 PDF p.5)。
会社は、営業利益が減った主な理由に、会社分割の影響、一過性の費用、海外事業の先行投資などを挙げている。会社分割で、海外の収入が入る時期がずれた。一過性の費用と先行投資は、販管費を押し上げた(決算説明資料 PDF p.5・11・12)。
くわしく:売上から純利益までの利益の段
次の図は、営業収入を 100 としたときに、売上から純利益までの各段階で利益がどれだけ残るかを示したものだ。

営業収入から原価を引いた売上総利益の割合は 44.9% で、前年同期の 44.2% よりむしろ高い。額で見ても、売上総利益の減少は約 16億円にとどまった(決算短信 PDF p.9 から計算)。
純利益の落ち込みが営業利益より大きいのは、前年同期にあった一時的な利益の反動だ。前年同期は、持ち合い株などの政策保有株式を売った利益(特別利益)が 89億円あった。今期は特別利益が無く、逆に特別損失が 12億円出た。大半は、建物を取り壊す費用(固定資産解体費用)の 11億円だ(決算短信 PDF p.9)。
純利益の減少 134億円のうち 7 割は、この特別損益の差にあたる(計算)。特別損益を入れる前の経常利益なら、減り方は 21.5% にとどまる(決算短信 PDF p.1・9)。
映画館の客足も見ておきたい。TOHO シネマズなどの上期の入場者数は 2623万人で、前年同期より 4.2% 少なかった(決算短信 PDF p.4)。
四半期に分けると、3〜5月は約 1201万人で、前年より 9.4% 多かった。6〜8月は約 1423万人で、13.2% 減った。前年の 6〜8月は「鬼滅の刃」「国宝」の大ヒットが重なり、図の 6 つの四半期でいちばん多い 1640万人だった(決算説明資料 PDF p.19 から計算)。

営業利益の減少の 8 割あまりは IP・アニメと映画


営業利益の減少を事業ごとに見ると、IP・アニメが 47.3億円、映画が 37.9億円だった。この 2 つで減益の 8 割あまりになる。残りの演劇・不動産・その他と、どの事業にも配らない本社などの費用(共通費)は、合わせても 17億円ほどの減少だった(計算)。
映画は、前年同期の「鬼滅の刃」「国宝」の大ヒットの反動で、収入が 12.1% 減った(計算)。費用の面では、3月に大井町、6月に名古屋栄で映画館を開いて人件費がかさんだ。新しい映画館や、売店のセルフ・モバイルオーダーのシステムで、減価償却費も増えた(決算短信 PDF p.4、決算説明資料 PDF p.6・19・58)。
6〜8月は映画「ちいかわ」が大ヒットし、関連グッズもよく売れた。7月1日には、劇場を取り巻くコストの変化を受けて、TOHO シネマズの鑑賞料金の一部を改めた。東宝によると、その後も動員は堅調だという(決算短信 PDF p.4、決算説明資料 PDF p.4)。
IP・アニメの減益は、主に収入が入る時期のずれ
この決算でいちばん引っかかったのは、IP・アニメの数字だった。収入は 373.1億円から 431.3億円へ 16% 増えたのに、利益は 107.0億円から 59.7億円へ 44% 減っている。新作以外のアニメの海外配信がよく伸びた中で、なぜ利益がここまで減ったのか。
答えは 3月の会社分割にある。東宝は 2026年3月、海外向けに作品の利用を許諾する(ライセンスする)事業を、子会社の TOHO Global に移した。TOHO Global の決算は 12月締めで、東宝の 2月締めと 2 か月ずれる(決算短信 PDF p.5、決算説明資料 PDF p.12)。
そのため海外の収入は 2 か月遅れて東宝の決算に入るのに、その収入に対応する費用は遅れずに入る。上期でいえば、費用は 3〜8月の分が入るのに、海外の収入は 3〜6月の分しか入らない。7〜8月の分は 9〜11月期に回る(決算説明資料 PDF p.12)。

会社分割が無かった場合の数字も、会社は示している。決算説明資料のグラフでは、分割の前の数え方なら、上期の利益は 3〜5月期が約 65億円、6〜8月期が約 39億円になる。足すと約 104億円で、前年同期の 107.0億円とほとんど変わらない(計算。決算説明資料 PDF p.11)。
くわしく:収入の面からの裏付け
収入の面からも裏付けがある。アニメのレーベル「TOHO animation」の上期の収入は 247億円だった。会社の試算では、分割の前の数え方なら 301億円で、53億円多い(計算)。この差の分は、消えるのではなく 9〜11月期に入る(決算説明資料 PDF p.36)。
分割の前の数え方でも増益にならなかったのは、配信の収入が増えた一方で、費用も増えたためだ。6〜8月期には、買収した会社への追加の代金(条件付対価)にかかわる約 14億円の一過性の費用が出た。会社は、これは最終の決済によるもので、9月以降は同じ費用は出ないとしている(決算説明資料 PDF p.11)。
海外で自社の配給や販売の網を広げる先行投資も、前年同期より 3〜5月期に 13億円、6〜8月期に 11億円増えた。前年の 3〜5月期には、ゴジラを海外で商品にする権利の収入もあった(決算説明資料 PDF p.11)。
くわしく:事業ごとの収入と利益の表と、ほかの事業
| 事業(億円) | 収入 前年同期 | 収入 今期 | 増減率 | 利益 前年同期 | 利益 今期 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 映画 | 1,037.1 | 911.8 | −12.1% | 231.9 | 194.0 | −16.4% |
| IP・アニメ | 373.1 | 431.3 | +15.6% | 107.0 | 59.7 | −44.2% |
| 演劇 | 107.0 | 95.9 | −10.4% | 10.0 | 8.5 | −15.2% |
| 不動産 | 393.1 | 400.1 | +1.8% | 104.6 | 99.0 | −5.4% |
| その他 | 6.4 | 12.5 | +95.6% | 0.7 | −2.1 | ― |
| 共通費 | ― | ― | ― | −42.8 | −49.7 | ― |
| 合計 | 1,916.8 | 1,851.6 | −3.4% | 411.5 | 309.4 | −24.8% |
収入は外部の顧客への営業収入で、億円にして小数第 2 位を四捨五入した。四捨五入のため、内訳の和が合計と合わないことや、表の値どうしの差が事業別の減少額の図と 0.1 ずれることがある。増減率は百万円の値から計算した(決算短信の XBRL のセグメント情報)。
残る事業も、営業利益はそろって前年同期を下回った。演劇は、前年の「レ・ミゼラブル」などの大型公演の反動で減収減益になった。不動産は、道路事業の大きな橋の補修工事が進み、収入が増えた。それでも、前年同期にあった工事代金の見直し(価格スライド)の分がなくなり、減益だった(決算説明資料 PDF p.6・21・22)。
共通費は、会員サービス「TOHO-ONE」の減価償却費や IT の委託費で増えた。その他の事業は TOHO-ONE の会費の収入が入ったものの、ポイントの販促費で赤字になった(決算説明資料 PDF p.6・23)。
条件付対価の費用は 9月以降は出ず、先行投資は強める
減益の理由のうち、この先も続くのはどれか。東宝の説明をもとに整理すると、次のようになる。
| 減益の理由 | 事業 | この先 | 出どころ |
|---|---|---|---|
| 前年の「鬼滅の刃」「国宝」の大ヒットの反動 | 映画 | 前年の作品と比べて出たもので、会社は先の見通しを書いていない | 決算説明資料 PDF p.6・19 |
| 海外の収入が 2 か月遅れて入る | IP・アニメ | 収入は無くならず、次の四半期に入る | 同 p.12・36 |
| 条件付対価の一過性の費用(約 14億円) | IP・アニメ | 9月以降は出ない | 同 p.11 |
| 海外事業の先行投資 | IP・アニメ | 強める。早めに収益につなげる | 同 p.4・11 |
| 新しい映画館の人件費と、新館やセルフ・モバイルオーダーのシステムの減価償却費 | 映画 | 会社は書いていない | 同 p.6・19 |
| TOHO-ONE の減価償却費と IT の委託費 | 共通費 | TOHO-ONE は原則 5 年で償却する | 同 p.23 |
営業利益の予想は据え置き、上期の進みは過去 5 期で最も遅い

くわしく:通期の予想の表
| 2027年2月期の通期(億円) | 期初の予想(4/14) | 今回の予想(10/15) | 前期の実績 |
|---|---|---|---|
| 営業収入 | 3,450 | 3,450 | 3,606 |
| 営業利益 | 620 | 620 | 678 |
| 経常利益 | 670 | 670 | 701 |
| 純利益 | 410 | 480 | 517 |
10月15日に修正したのは純利益だけで、410億円から 480億円へ 70億円引き上げた。今期の予想の修正はこれが初めてだ。9月15日に持ち合い株などを一部売り、111億円の特別利益を 9〜11月期に計上することを反映した(業績予想の修正のお知らせ、決算説明資料 PDF p.16・24)。
今期の営業利益の予想 620億円は、前期の実績 678億円より 8.7% 低い(計算。業績予想の修正のお知らせ)。
上期の営業利益は、通期の予想の 49.9% まで進んだ。過去 5 期は、上期だけで通期の実績の 51.9〜63.3% を稼いでいた。今期は予想に対する割合、過去の期は実績に対する割合なので、物差しは同じではない。それでも予想どおりに着地するなら、下期の比重は過去 5 期のどの年より大きくなる(各期の決算短信から計算)。

東宝は、上期はおおむね計画どおりに進んだとしている。ただ、映画「ちいかわ」と「ゴジラ-0.0」のある程度のヒットは、すでに予想に入っている。そこで下期の大作の出足を慎重に見極めることにして、営業利益の予想を据え置いたという(決算説明資料 PDF p.4・24)。
事業別に見ると、通期の予想に対する上期の営業利益の割合は、映画が 58.8%、不動産が 55.0% だった。IP・アニメは 27.1% にとどまる。IP・アニメが通期の予想 220億円に届くには、下期に約 160億円が要る。前年の下期は約 66億円だったので、約 2.4 倍を稼ぐ計算だ(決算説明資料 PDF p.44 の予想から計算)。
予想どおりなら、会社全体の下期の営業利益は約 311億円で、前年の下期の約 267億円より約 16% 多い。上期に 7〜8月の分が入らなかった海外の収入は、9〜11月期に入る(決算短信 PDF p.1、業績予想の修正のお知らせ、決算説明資料 PDF p.12 から計算)。
過去 5 期は、どの期も期初の予想を上回った

東宝の予想は、どこまで当てになるのか。過去 5 期の決算短信と修正のお知らせをたどると、営業利益の実績は、5 期とも期初の予想を 17.6〜48.1% 上回っていた。期の途中で営業利益の予想を変えたのは 6 回で、すべて上方修正だった。上げた後の最終の予想に対しても、実績は 4.3〜18.5% 上だった(どれも百万円の値から計算)。
期初の予想を期中に引き上げ、実績がさらにその上に来る。この 5 期は、毎回この形だった。ただ、今期も同じになるとは限らない。前期は「鬼滅の刃」「国宝」が大ヒットした年で、今期の予想はその実績より 8.7% 低い。会社自身も、下期の大作の出足を見てから判断するとしている。
くわしく:過去 5 期の予想と実績の表
| 営業利益(億円) | 期初の予想 | 最終の予想 | 実績 | 期初比 | 修正 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年2月期 | 320 | 380 | 399 | +24.8% | 上 1 回 |
| 2023年2月期 | 380 | 420 | 448 | +18.1% | 上 1 回 |
| 2024年2月期 | 400 | 500 | 592 | +48.1% | 上 2 回 |
| 2025年2月期 | 550 | 620 | 646 | +17.6% | 上 1 回 |
| 2026年2月期 | 570 | 650 | 678 | +19.1% | 上 1 回 |
自己資本比率は 73%、借入金は 14億円

8月末の自己資本比率は 73.1% で、前期末の 73.3% とほぼ同じだった。自己資本比率は、会社の資産のうち、返さなくてよいお金でまかなっている割合のことだ。現金と預金が 577億円、短期で持つ有価証券が 260億円ある。これに対し、借入金は合わせて 14億円しかない(決算短信 PDF p.1・7・8 から計算)。
この半年は、本業と投資で残ったお金より多くを株主に返した。配当で 113億円を払い、自社株買いに 118億円を使った。株主に回したお金は合わせて 231億円で、残ったお金(フリーキャッシュフロー)の 146億円を 85億円上回る。差は手元のお金でまかない、現金及び現金同等物は 2月末から 88億円減った(決算短信 PDF p.11 から計算)。
中間の配当は 1 株 11 円で、年間 22 円の予想を変えていない。前期の年間 110 円は、2026年3月1日に 1 株を 5 株に分ける前の額だ。分けた後に直すと 22 円になる(決算短信 PDF p.1、決算説明資料 PDF p.25)。
会社の還元の方針は、年間 17 円の配当を下限に配当性向 35% 以上とし、自社株買いも機動的に行うというものだ。期末の配当は、この方針に沿って引き続き考えるとしている(決算説明資料 PDF p.104、業績予想の修正のお知らせ)。
次に見るのは「ゴジラ-0.0」と IP・アニメの下期

まず見るのは、11月に公開する「ゴジラ-0.0」の出足だ。国内は 11月3日、北米は 11月6日から、世界のおよそ 80 か国で上映する。海外は、北米の GKIDS など、グループの配給会社が自分で届ける。前作「ゴジラ-1.0」の世界の興行収入は約 160億円だった(決算説明資料 PDF p.8。1 ドル 150 円で換算)。
2 つ目は、IP・アニメが下期に約 160億円を稼げるかどうかだ。東宝が期待するのは、新作以外のアニメの配信と、「ゴジラ-0.0」の海外の配給やグッズ・パンフレットだ。海外の先行投資は強めるとしていて、足元では IP・アニメの利益率を押し下げている。それでも、早めに収益につなげるという(決算説明資料 PDF p.4・11)。
予想が外れるとしたら、まず効いてくるのは下期の大作の出足だろう。予想の節で見たとおり、「ちいかわ」と「ゴジラ-0.0」のある程度のヒットは、すでに予想の前提になっている。投資の期間中は会社全体の営業利益率も下がりやすく、その後は回復すると会社は見込む(決算説明資料 PDF p.4・106)。
次の決算(第3四半期、9〜11月)は、2027年1月14日に発表する予定だ(同 p.109)。そこで「ゴジラ-0.0」の国内の出足(11月分)と、IP・アニメの 9〜11月の数字が出る。海外の配給は TOHO Global が担うので、その収入は 2 か月遅れて入る。北米などの出足が数字に出るのは、その次の本決算になるとみられる(同 p.8・12・98 からの推測)。
補足:お金の流れ、予想の前提、株価と比べる式
お金の流れ
半年のお金の流れは、本業で 191億円が入り(営業キャッシュフロー)、投資で 44億円、財務で 239億円が出た。符号は+・−・−で、本業で得たお金を、投資と株主への還元に回した形だ。営業と投資を足したフリーキャッシュフローは 146億円で、前年同期の 292億円の半分ほどだった(計算。決算短信 PDF p.11)。
投資で出たお金が 44億円と小さいのは、短期の有価証券の売却が取得を 260億円上回ったためだ。設備への投資(有形固定資産の取得)には 164億円、買収した会社への追加の代金(条件付対価)の支払いには 112億円を使った(同 p.11 から計算)。
本業で入ったお金の 191億円は、純利益の 200億円とほぼ同じだった。一方で、前年同期の 477億円からは大きく減っている(決算短信 PDF p.9・11)。
営業キャッシュフローの計算では、前年同期の株の売却益 89億円を利益から除く。除いた後で比べても、税金などを引く前の利益は約 96億円減った。加えて、仕入債務(仕入れ先への支払いを待ってもらっている分)の増え方が約 110億円小さくなった。在庫の増加や、未払いの消費税の減少も響いた(決算短信 PDF p.11 から計算)。
予想の前提と、中期の目標
4月の時点の予想は、上振れと下振れの要因の一部を入れていなかった。上振れの要因は、映画館の料金の改定、不動産の売却、持ち合い株の一部の売却だ。下振れの要因は、会社分割の影響の一部だ。このうち持ち合い株の売却は、今回、純利益の予想に入れた(決算説明資料 PDF p.44 の第1四半期の資料の再掲)。
持分法で取り込む出資先の損益は例年並みとし、建物の解体費用 20億円は予想に入っている。この持分法の損益は、前々期から今期の上期まで損失が続いている(決算説明資料 PDF p.44、決算短信 PDF p.9、前期の決算短信 PDF p.1)。
中期経営計画 2028 は、2028年2月期までに営業利益 700億円以上を目指している。今期の予想 620億円とは、まだ 80億円の開きがある(計算。決算説明資料 PDF p.104)。
長い目では、中期経営計画 2028 で、2032年に向けて海外の売上の割合を 10% 程度から 30% まで上げるとしている。長期ビジョン 2032 では、2032年の営業利益 750〜1000億円を目指す(決算説明資料 PDF p.103・104)。
持ち合い株は 2030年2月期末までに帳簿上の金額で 500億円超減らす目標で、地方や郊外の不動産 7 物件の売却も始めた(決算説明資料 PDF p.15・16)。
配当と還元の数字
年間 22 円の配当は、今回の予想の EPS(1 株当たり利益)57.62 円の 38.2% にあたる(計算)。ただし、この EPS には一度きりの株の売却益が入っている。前期の配当性向は 35.9% だった(決算短信 PDF p.1、業績予想の修正のお知らせ、前期の決算短信 PDF p.1、決算説明資料 PDF p.25)。
この半年には、自社株を 750万株買い、持っていた自社株 3000万株を消却した。前期は、配当と自社株買いを合わせた総還元性向が 64.7% だった(決算短信 PDF p.12、決算説明資料 PDF p.25)。
会社は、株主資本コスト(株主がこの会社の株に期待する収益の割合)を 4〜5.5% 程度とみている。この値と投資家の期待には差があることも認めている。前期の ROE(自己資本利益率)は 10.4% だった。目標は、中期経営計画 2028 で 9% 以上、長期ビジョン 2032 で恒常的に 10% 以上だ(決算説明資料 PDF p.104・107、前期の決算短信 PDF p.1)。
株価と比べるときの式
- EPS(1 株当たり利益)= 純利益 ÷ 株数(期中の平均)。この上期は 24.00 円で、前年同期は 39.45 円(3月1日に 1 株を 5 株に分けた後の株数で計算し直した値)。今回の予想(通期)は 57.62 円で、9〜11月期の株の売却益を含む(期初の予想は 48.85 円)。前期の実績は 61.20 円(決算短信 PDF p.1、業績予想の修正のお知らせ)
- BPS(1 株当たり純資産)= 純資産 ÷ 株数(期末)。中間の決算短信には載らないので、前期末の 614.01 円を使う(前期の決算短信 PDF p.1)
- PER(株価収益率)= 株価 ÷ EPS。利益の何年分の値段か
- PBR(株価純資産倍率)= 株価 ÷ BPS
- ROE(自己資本利益率)= 純利益 ÷ 自己資本。稼ぐ効率。前期は 10.4%(前期の決算短信 PDF p.1)
- 配当利回り = 年間配当 ÷ 株価。配当の予想は年間 22 円(分割の後の 1 株の値)
株価を証券会社の画面で調べて式に当てはめれば、PER・PBR・配当利回りが出る。PER が低い会社には、利益が一時的に増えた、成長が止まりそう、などの理由があることもある。ROE は借入を増やしても上がる。
決算の言葉の意味は、用語集にまとめた。
出典と注意
「計算」と書いた数は、原本の数から自分たちで計算した値だ。金額は億円未満を切り捨てた。それ以外の数(割合・人数・倍率)と、「約」「ほど」を付けた額、小数第 1 位まで書いた値は四捨五入した。ただし、会社の資料が億円単位や概数で書いた数は、「約」を付けたものも含め、資料の値のまま使った。会社の説明は要約で、図は数字から作り直した。この記事は株の売買を勧めるものではない。
| 資料 | 出典 |
|---|---|
| 決算短信 | 東宝「2027年2月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」2026-10-15。東宝の IR ライブラリ https://www.toho.co.jp/ir/disclosure/(原本は 2026-10-17 に TDnet で取得) |
| 決算説明資料 | 東宝「2027年2月期 第2四半期(中間期)決算説明資料」2026-10-15。東宝の IR ライブラリ https://www.toho.co.jp/ir/disclosure/(原本は 2026-10-17 に TDnet で取得) |
| 業績予想の修正 | 東宝「2027年2月期通期業績予想の修正に関するお知らせ」2026-10-15。東宝の IR ライブラリ https://www.toho.co.jp/ir/disclosure/(原本は 2026-10-17 に TDnet で取得) |
| 前期の決算短信 | 東宝「2026年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」2026-04-14。東証上場会社情報サービス https://www2.jpx.co.jp/tseHpFront/JJK010010Action.do?Show=Show(コード 9602。取得: 2026-10-17) |
| 過去 5 期の予想と実績・上期の実績 | 東宝の 2021〜2026年の決算短信(XBRL)と業績予想・配当予想の修正のお知らせ。東証上場会社情報サービス(同上。取得: 2026-10-17) |